12歳のゴールデン、最近夜中に家をうろうろしていませんか?
「まさか認知症?」と心配になる気持ち、よくわかります。でも、老犬の夜の徘徊は、認知症だけが原因ではないのです。痛みや昼夜逆転、視力の低下など、意外な原因が隠れていることも少なくありません。
原因によって対応が変わりますから、まずは「なぜ歩き回っているのか」を知ることが大切です。
この記事では、老犬が夜に徘徊する5つの原因と、飼い主さんがすぐに実践できる対処法をまとめました。大型犬ならではの注意点も後半でくわしくお伝えします。ぜひ最後まで読んで、愛犬の夜のケアに役立ててください。
老犬が夜に徘徊する「本当の理由」とは

「うちの子、また夜中に歩き回っている……」
その姿を見て、多くの飼い主さんが最初に思い浮かべるのが「認知症」という言葉ではないでしょうか。確かに、認知症は老犬の夜の徘徊の大きな原因のひとつです。ただし、それだけではありません。
老犬の体や心には、夜の徘徊につながる複数の要因が絡み合っています。一つひとつ確認していきましょう。
原因①:認知症(認知機能不全症候群)
犬にも人と同じように、脳の老化による認知症があります。正式には「認知機能不全症候群(CDS)」と呼ばれ、15歳以上の犬では約半数に何らかの症状がみられるという報告もあります。
認知症による徘徊の特徴は、「目的なくぐるぐると歩き回る」ことです。特に夜間に起き出して、家の中を延々と歩き続けることがよくみられます。
あわせてみられるサインとしては、以下のようなものがあります。
- 呼んでも反応が薄くなった
- 食事や排泄のタイミングが乱れてきた
- 以前できていたことを忘れるようになった
- 夜鳴きが増えた
これらが重なって出てきた場合は、認知症の可能性があります。ただし、これだけで断定はできませんので、動物病院での確認をおすすめします。
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原因②:昼夜逆転と睡眠リズムの乱れ
シニア犬になると、睡眠のパターンが変わってきます。昼間うとうとしている時間が増える一方で、夜は眠れなくなる「昼夜逆転」が起こりやすくなるのです。
日中、愛犬がほとんど動かずに寝ていませんか?「起こしてかわいそう」と思って、そのままにしている飼い主さんも多いかもしれません。
でも、昼間に眠りすぎると夜に目が覚めてしまい、体力が余って歩き回ってしまいます。認知症ではなく、単純なリズムの乱れが原因の場合は、生活リズムを整えることで改善が期待できます。
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原因③:痛みや身体の不調
見落としがちですが、関節痛や内臓疾患などの身体的な不調が原因で、じっとしていられなくなることがあります。
特に関節炎を抱えた老犬は、横になっていると痛みが増すため、歩き回ることで楽な姿勢を探していることがあります。夜は昼間と違って飼い主の目が届きにくいため、日中は我慢しているのに夜だけ動き回るという場合もあります。
「夜だけ徘徊する」「特定の動き方をする」という場合は、痛みのサインかもしれません。
原因④:不安・ストレス
老犬は、年齢とともに不安を感じやすくなります。大好きな家族が寝てしまって「ひとりになった」と感じたり、暗い環境が怖かったりして、落ち着かずに歩き回ることがあります。
また、引っ越しや家族構成の変化など、環境の変化があったタイミングで徘徊が始まった場合は、ストレスが原因の可能性が高いです。「夜、飼い主さんが寝室に入るタイミングで徘徊が始まる」という場合は、分離不安の可能性もあります。
原因⑤:視力・聴力の低下
老犬は視力や聴力が衰えていきます。暗くなると見えにくくなり、方向感覚を失って不安になった結果、歩き回ってしまうことがあります。
視力が低下しているサインとして、以下のようなものがあります。
- 薄暗い場所での動きがぎこちなくなった
- 物にぶつかるようになった
- 目が白っぽく濁ってきた
これらのサインが気になる場合は、眼科的な確認も含めて動物病院に相談してみましょう。
夜の徘徊、今日から取り組める対処法

原因がわかったら、次は対処法です。すべての原因に効く「魔法の方法」はありませんが、まず試してほしいことがいくつかあります。
昼間の活動量を増やして、睡眠リズムを整える
最初に取り組んでほしいのが、昼間の過ごし方の見直しです。ポイントは3つあります。
① 昼間は適度に起こしてあげる
「寝ているから起こさないように」という気持ちはわかります。でも、昼間に眠りすぎると夜に眠れなくなります。無理のない範囲で声をかけたり、短い散歩に連れ出したりしてみましょう。
② 日光を浴びさせる
日光は体内時計をリセットするのに役立ちます。午前中に15〜30分程度、窓際や庭で日光浴をさせると、夜の睡眠リズムが整いやすくなります。
③ 夕方の運動は軽めにする
夕方以降の強い運動は、逆に脳を活性化させてしまうことがあります。夕方の散歩は軽め・短めにして、就寝前は落ち着いた環境を作りましょう。
安全な「徘徊スペース」を作る
認知症や睡眠リズムの乱れによる徘徊は、完全に止めることが難しい場合もあります。その場合は、「安全に歩き回れる環境」を整えることが重要です。
サークルを活用する
ペット用サークルや、柔らかいマットをつなげて環状にしたスペースを作ることで、家具への衝突を防ぎながら、安全に動き回れます。
認知症の犬は後ずさりが苦手なことが多く、四角いサークルでは角に挟まって動けなくなることがあります。できれば丸や六角形など、角のない形にするとよいでしょう。
床の滑り止め対策
フローリングは老犬の足腰に負担がかかります。ヨガマットやペット用ラグを敷いて、滑らないようにしておきましょう。
夜間の薄明かり
視力が衰えた犬には、夜間も薄明かりがある環境が安心です。足元を照らす程度のナイトライトを設置するだけで、ぶつかりや転倒のリスクが下がります。
やってはいけないこと(両面提示)
徘徊する愛犬を見て、つい「止めさせなければ」と思うかもしれません。ただし、以下の行動は逆効果になることがあります。
- 叱る・大きな声を出す:老犬にとって混乱やストレスになります
- 無理に押さえつける:痛みがある場合は悪化させる可能性があります
- 完全に動けないようにする:筋力の維持のためにも適度な運動は必要です
徘徊そのものを止めるより、「安全に歩ける環境を作る」方向で考えるのがポイントです。
老犬の認知症、症状と進行サインを早期に知る方法|介護が必要になる前に
こんな症状が出たら、すぐに動物病院へ

「様子を見ていればいい」と思いたいところですが、以下のような症状が出ている場合は、早めの受診をおすすめします。
すぐに受診すべき症状
- ぐるぐると同じ方向にしか回れない
脳腫瘍や前庭疾患(ぜんていしっかん)の可能性があります - 急に徘徊が始まった
数日以内に急激に症状が出た場合は、脳の病気や代謝異常の可能性があります - 歩行がふらふらしている・倒れる
神経系や耳の問題(前庭疾患)のサインです - 食欲がなく、元気もない
全身的な疾患が隠れている可能性があります - 失禁が急に増えた
神経・内分泌系の問題が関係していることがあります
早期に気づくほど対処の選択肢が増えます。「まあ大丈夫だろう」という様子見が続くと、回復に時間がかかることもあります。少しでも気になれば、遠慮なく受診してください。
様子見でいい場合
- 昼間よく眠っていて、夜だけ起きて動き回る(昼夜逆転の可能性)
- 家族が寝室に入ったタイミングで始まる(分離不安の可能性)
- 歩き方は安定していて、食欲もある
こうした場合は、まず生活リズムの見直しを試みながら、数週間経っても改善しないようなら相談するとよいでしょう。
大型犬の夜の徘徊、特に注意したいこと

競合記事の多くが小型犬を前提に書かれていますが、大型犬の夜の徘徊には独特の難しさがあります。
ゴールデンレトリバーの場合
ゴールデンレトリバーは10〜12歳あたりから認知症のサインが出始めることがあります。体重が25〜35kgある大型犬ですので、夜中に徘徊されると制御が難しく、飼い主さんの睡眠が大きく妨げられることも少なくありません。
特に注意したいのは、フローリングでの転倒です。筋力が落ちてくると、フローリングで滑って転倒・骨折するリスクがあります。徘徊スペース全体に滑り止めマットを敷き、家具の角にはコーナーガードをつけるなどの対策を早めに行いましょう。
また、ゴールデンレトリバーは関節炎になりやすい犬種でもあります。「痛みで歩き回っている」という可能性も念頭に置いて、歩き方の変化に注意してみてください。
ラブラドールレトリバー・ハスキーの場合
ラブラドールレトリバーも体格が大きく、シニア期(8歳以降)から認知症や関節疾患が出やすい犬種です。特に肥満になりやすいため、体重管理が不十分だと関節への負担が増し、痛みによる夜間不眠・徘徊につながることがあります。
シベリアンハスキーは運動量が多い犬種のため、昼間の運動不足が夜の徘徊に直結することがあります。シニア期でも適度な運動を続けることが、夜間の安定した睡眠につながります。
どの犬種でも共通していえるのは、「体が大きい分だけ、転倒・ケガのリスクが高い」という点です。環境整備は小型犬よりも念入りに行う必要があります。
まとめ
老犬の夜の徘徊について、重要なポイントを整理します。
- 原因は複数ある:認知症のほか、昼夜逆転・痛み・不安・視力低下など、さまざまな原因が考えられます
- まず生活リズムを見直す:昼間の活動量を増やし、日光を浴びさせることで改善するケースも多いです
- 環境を安全に整える:徘徊を止めるより、安全に動き回れるスペースを作ることが大切です
「なんとかしてあげたい」という気持ちが、愛犬にとって一番の支えになります。わが子のために、できることをひとつずつ始めていきましょう。
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