「今日も仕事に行っていいのかな」と、玄関を出るたびに足が止まることはありませんか?
老犬介護が始まると、仕事中も頭のどこかで「今ごろ何をしているのだろう」「急変したらどうしよう」という不安がつきまといます。多くの飼い主さんが、この両立の難しさを感じながら毎日を過ごしています。
この記事では、老犬介護と仕事を続けるための7つの実践的な対策をご紹介します。見守りカメラの活用から職場への相談の仕方、大型犬ならではの体力負担の軽減方法まで、明日からすぐ取り組める内容をまとめました。
介護経験を持つ飼い主さんたちの声をもとに、現実的に続けられるケア体制の作り方をお伝えします。「仕事を辞めるしかないのか」と悩む前に、ぜひ最後まで読んでみてください。愛犬のために、できることはまだあります。
老犬介護と仕事の両立が難しくなる「3つの転換点」

老犬が7歳を超えても、最初のうちは仕事を続けながら介護できることが多いものです。ところが、ある時期を境に「これは一人では無理かもしれない」と感じる瞬間が来ます。その転換点を事前に把握しておくことが、慌てずに対策を立てる第一歩です。
夜泣き・夜間ケアが始まったとき
認知機能が低下し始めると、夜中に何度も吠えたり、昼夜逆転した生活になることがあります。一晩に何度も起こされる状態が続くと、翌日の仕事に深刻な影響が出ます。
「夜眠れないまま翌朝出勤する日が増えた」という声は、老犬介護をする飼い主さんからよく聞きます。睡眠不足は飼い主さん自身の健康にもかかわるため、早めに対策を取ることが大切です。
夜間ケアが増えた時点で、昼間の介護負担を外部サービスに委ねることを検討するタイミングだと考えましょう。夜に備えるためにも、日中の体力を温存する仕組みが必要です。
「夜泣きがひどくてもう限界です…」という状態になる前に、次の章でご紹介する実践策に進みましょう。
排泄の失敗や歩行困難が増えてきたとき
「帰宅したら部屋中がそそうだらけだった」という状況が頻繁に続くようになると、飼い主さんの精神的な消耗は想像以上に大きくなります。
排泄の失敗は突然始まることが多く、仕事の都合で対応が遅れることへの罪悪感が積み重なりやすいものです。歩行が不安定になってきたら、留守中に転倒や怪我をするリスクも出てきます。
段差の解消や滑り止めマットの設置など、環境を整えることが最優先です。老犬のケア方法についての全般的な情報は、介護・ケアカテゴリでも詳しく解説しています。
この段階になると「毎日帰ってきてから片付けるのが辛い」という気持ちが積み重なりがちです。片付けの手間を減らすグッズや、留守中の排泄ケアを検討しましょう。
投薬・通院が定期的に必要になったとき
心臓病や腎臓病など、慢性疾患の管理が始まると毎日の投薬や月に数回の通院が必要になります。「動物病院は平日の昼間しか診てもらえない」という現実に、仕事との調整で頭を抱える方も多くいます。
投薬を欠かすと症状が悪化する可能性があります。「きょうは忙しいから薬は明日でいいか」が積み重なると、取り返しのつかない事態になることも。
この段階では外部のサポートを取り入れることを、ためらわずに検討してください。一人で抱え込む必要はありません。
「まだなんとかなる」のうちに対策を整えることが、長期の両立につながります。
留守中の不安を減らす、働きながら続けられる5つの実践策

仕事を続けながら老犬の介護をするには、「自分がいない時間」の安心感をどう作るかが鍵になります。費用・手間・効果のバランスを見ながら、できるものから取り入れましょう。
見守りカメラ・スマートデバイスを導入する
いまはスマートフォンから部屋の様子をリアルタイムで確認できる見守りカメラが、5,000円〜15,000円程度で購入できます。仕事の休憩時間にちらっと確認できるだけで、「今は寝ていた。大丈夫だ」という安心感が得られます。
自動給餌器・自動給水器と組み合わせると、食事・水分補給の不安も軽減できます。温湿度センサーも設置しておくと、真夏の室温上昇にも気づくことができます。
ただし、カメラで異常を発見しても「すぐ対応できる体制」がないと安心は半分です。発見後に誰に連絡するかを、事前に決めておくことが大切です。カメラはあくまで「気づくためのツール」として活用しましょう。
見守りだけでは不安という方は、次のペットシッター活用と組み合わせることをおすすめします。
ペットシッター・デイサービスを賢く活用する
「毎日頼むのは費用がかかる」と感じる方も、週に2〜3回から試してみることをおすすめします。老犬対応のペットシッターは訪問型で、愛犬をなじんだ環境のままケアしてもらえます。外に連れ出すことが難しい老犬にとって、体への負担が少ないのが利点です。
初めての利用前には、飼い主さんが同席した状態で1〜2回の顔合わせを設けると、愛犬が安心しやすくなります。急に見知らぬ人が来ると、認知機能が落ちた老犬はパニックを起こすことがあります。
デイサービス(ペットホテルの日帰り利用)は、出張や残業が確実に見込まれる日に予約しておくと効果的です。予定が決まり次第、早めに手配しておきましょう。
コストが気になる場合は、「繁忙期だけ集中して使う」「月に何日かは必ず使う日を決める」などのルールを設けると、費用の見通しを立てやすくなります。
テレワーク・時差出勤・時短勤務の制度を使う
コロナ以降、在宅勤務やハイブリッド勤務を導入した企業は大幅に増えました。ペット介護を理由に制度を活用することを、遠慮する必要はありません。
「週に2日でも在宅日があるだけで、介護の負担が全然違う」という声を多くの飼い主さんから聞きます。時差出勤が使えるなら、朝の投薬や排泄ケアを済ませてから出勤することができます。
「そんな制度はうちの会社にない」と思う前に、まず就業規則や福利厚生の内容を確認してみましょう。コロナ前と今では制度が変わっている職場も多く、申請するだけで通るケースがあります。
仕事を休む・辞める前に試してほしいこと

老犬介護の負担が増すにつれて、「もう仕事を辞めるしかない」という気持ちになることもあります。でも、辞める前に試せることがあります。焦らず、ひとつずつ確認していきましょう。
職場に状況を伝えて、ペット関連制度を調べる
「ペット忌引き」「ペット介護休暇」などの独自制度を設ける企業が、少しずつ増えています。まずは就業規則や社内規定を確認し、人事・総務担当者に問い合わせてみましょう。
そのような制度がない職場でも、通院が必要な日だけ有給を取るという運用は多くの職場で受け入れられます。「愛犬の通院で有給を使う」ことは、決して非常識ではありません。
上司への相談は「迷惑をかけるかも」と思うかもしれません。しかし事前に状況を伝えておくほうが、急な欠勤よりも職場への影響は小さくなります。「今後こういうことが起きる可能性がある」という予告は、誠実なコミュニケーションです。
家族・近所との「緊急時ネットワーク」を作る
「緊急時に代わりに様子を見に行ける人」を一人でも確保できると、仕事中の安心感が大きく変わります。
近所に住む家族・兄弟・信頼できる友人に、自宅の鍵の預かりとかかりつけ医の連絡先を共有しておきましょう。「こういうときは連絡してもいいですか?」と一言伝えておくことが、いざというときの行動をスムーズにします。
地域の飼い主コミュニティやSNSグループで「お互いに助け合える関係」を作っている方もいます。一人で抱え込まないことが、長く続けられる介護の基本です。
愛犬のために、助けを求めることも立派なケアのひとつです。
「辞める」は最後の選択肢。使えるすべての仕組みを試してから、考えましょう。
大型犬の介護と仕事の両立は「体力問題」を切り離せない

小型犬の介護と大型犬の介護では、身体的な負担がまったく異なります。特に仕事との両立を考えると、この点を無視することはできません。仕事で疲れた体で帰宅してから重い愛犬を世話するのは、想像以上にきついことです。
ゴールデンレトリバー・ラブラドールの場合
ゴールデンレトリバーやラブラドール・レトリバーは、10〜12歳ごろから関節疾患や心疾患、腫瘍のリスクが高まる傾向があります。成犬時の体重は25〜35kgに達するケースも多く、転倒した際に自力で起き上がれなくなることがあります。
仕事で長時間留守にする日は、フローリングの滑り止めマット設置と段差の解消が特に重要です。「帰宅したら廊下で倒れていた」という事態を防ぐために、動ける範囲をゾーニングしてリスクを限定することも有効です。
大型犬の健康管理に関する詳しい情報は、健康・医療カテゴリでも解説しています。
食事は帰宅後すぐに用意できるよう、ウェットフードを常備しておくと便利です。自動給餌器を使う場合も、帰宅後に必ず食事の様子を確認しましょう。「いつもより食べる量が少なかった」という変化が体調サインになることがあります。
獣医師に相談することをおすすめするのは、「いつもより元気がない」「食欲が落ちた」が3日以上続いたときです。症状が続く場合は様子見せず、早めの受診を検討してください。
一人での体位変換・移動介助は無理をしない
寝たきりになった大型犬の体位変換は、2〜3時間に1回が理想とされています。しかし、仕事から疲れて帰宅した後の体位変換は、飼い主さんの腰や肩に大きな負担がかかります。
「腰を痛めてしまったら、介護そのものができなくなる」という現実を忘れないでください。スライディングボードや介護用ハーネスなどの補助具を積極的に活用しましょう。これらは数千円〜1万円程度で入手でき、介護の安全性が大幅に上がります。
体への負担を減らすことは、愛犬のためでもあります。疲れた状態で無理に体位変換を行うと、犬にとっても痛みや不快感を伴うことがあります。安全な方法については、獣医師や動物理学療法士に相談することをおすすめします。
大型犬の介護に特化したサービス(老犬ホームや老犬向けデイサービス)を利用することも、飼い主さんの体力温存という観点から有効な選択肢です。
まとめ
老犬介護と仕事の両立で大切なのは、「完璧にやろうとしないこと」と「早めに仕組みを整えること」の2点です。
- 夜泣き・排泄失敗・投薬開始など、介護の転換点を見逃さない
- 見守りカメラ・ペットシッター・テレワーク制度を組み合わせて安心感を作る
- 職場・家族・外部サービスを活用して、一人で抱え込まない体制を作る
大型犬の場合は特に、体力的な限界を自覚したうえで補助具や専門サービスを早めに取り入れることが大切です。「まだ大丈夫」のうちに動くことが、長く続けられる介護につながります。
わが子のために、できることをひとつずつ。
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