愛犬のうんちが緩くなって、心配していませんか?
「年のせいかな」と思いながらも、「もしかして何かの病気では」と不安になる気持ち、とてもよくわかります。シニア犬になると、消化器官の働きが少しずつ変化していきます。だから、若い頃よりも下痢になりやすくなるのは、ある意味自然なことです。
でも、「ただの下痢」で片付けてしまうと、見落としてはいけない病気のサインを見過ごしてしまうかもしれません。
この記事では、老犬が下痢をする5つの主な原因と、飼い主さんが自宅でできるチェック・ケアの方法をお伝えします。さらに、大型犬ならではの注意点や、いつ病院に連れて行くべきかの判断基準もわかりやすく解説します。
愛犬のお腹の調子が気になる飼い主さんは、ぜひ最後まで読んでみてください。
老犬の下痢の原因5つ|シニアになると腸に何が起きるの?

「先週まで元気にごはんを食べていたのに」「急にゆるくなった」——そう感じた飼い主さんは多いはずです。
老犬の下痢は、さまざまな原因が重なって起きることがあります。まず代表的な5つの原因を見ていきましょう。
原因① 腸の機能低下(老化による消化力の衰え)
人間と同じように、犬も年をとると消化器官の働きが落ちてきます。腸の蠕動(ぜんどう)運動が弱まり、食べたものをうまく消化・吸収できなくなることがあります。
7歳を過ぎると、腸内細菌のバランスも変化します。善玉菌が減り、悪玉菌が増えやすくなると、便が緩くなりやすくなります。
これは「老化の変化」のひとつですが、だからといって放置していいわけではありません。消化をサポートする食事に切り替えることで、改善できる場合があります。
原因② 食事の変化・消化不良
フードを急に切り替えたり、おやつをたくさん食べたりすると、老犬の腸はすぐに反応します。
若い頃は問題なかった食材が、シニアになると下痢の原因になることもあります。脂肪分の多いフードや、人間の食事(特に味付けの濃いもの)はシニア犬の腸に負担をかけます。
「先週あげたものは大丈夫だった」という感覚が通用しなくなってくるのが、老犬の消化器官の特徴です。
原因③ ストレスや環境の変化
引越し、家族構成の変化、他のペットとのトラブル——こういった環境の変化が、犬のお腹に影響することがあります。
シニア犬はストレスへの耐性が下がる傾向があります。「環境は変わっていないはずなのに下痢をする」という場合でも、天候の変化や生活リズムのちょっとしたズレが原因になることもあります。
原因④ 感染症・寄生虫
細菌(サルモネラ・カンピロバクターなど)やウイルス、あるいは寄生虫(ジアルジア・回虫など)による感染も、下痢の原因になります。
老犬は免疫力が低下しているため、若い犬が感染してもほとんど症状が出ないような菌でも、シニア犬では重症化しやすいことがあります。公園での地面の匂い嗅ぎや、他の犬との接触で感染するケースも報告されています。
原因⑤ 内臓疾患(膵炎・腸炎・腫瘍など)
下痢が続く場合に気をつけたいのが、内臓の病気です。膵炎、炎症性腸疾患(IBD)、腸リンパ腫などは、下痢を繰り返す症状として現れることがあります。
また、腫瘍が腸を圧迫することで便通に異常をきたすこともあります。「いつもより軟便が続いている」「血が混じっている」という場合は、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
次の章では、自宅でできるチェック方法を具体的にお伝えします。
自宅でできる!老犬の下痢のチェックとケア方法

「病院に行くべきかどうか迷う」という飼い主さんに向けて、まず自宅でできることをお伝えします。
便の状態を確認する4つのポイント
下痢の原因を把握するために、便の状態を細かく観察することが大切です。次の4点をチェックしてみてください。
1. 色
正常は茶色〜こげ茶色です。黒っぽい(消化管からの出血の可能性)、鮮やかな赤(新鮮な出血)、白っぽい(消化不良・脂肪の問題)は注意が必要なサインです。
2. 形状・硬さ
スコア1〜7で表す「便スコア」を目安にしてみましょう。スコア5〜6が軟便、7が完全な水様便です。スコア5以上が続く場合は、経過を記録しておくと受診時に役立ちます。
3. 頻度
1日3回以上の排便、または夜中に何度も排便しようとする場合は要注意です。老犬は体力の消耗が早いため、頻繁な下痢は体に大きな負担をかけます。
4. 混入物
血液、粘液、未消化物(粒状のフード)が混じっていないか確認してください。粘液だけでも、腸の炎症を示している場合があります。
自宅でできるケアの手順
軽い下痢(スコア5程度、1〜2日で改善傾向)であれば、以下のケアを試してみてください。
ステップ1:12〜24時間の絶食(水は与える)
消化器官を休ませることが最優先です。ただし、シニア犬は低血糖になりやすいため、長時間の絶食は必ず獣医師に相談のうえ行ってください。
ステップ2:消化に良い食事に切り替える
絶食後は、消化しやすいものを少量から始めます。鶏のゆで肉(皮と脂を除いたもの)と白いご飯、または消化器サポート用の療法食が適しています。
ステップ3:水分補給を確認する
下痢が続くと脱水になりやすいため、飲水量を増やす工夫が必要です。水を少しずつでも飲んでいるか、こまめに確認してください。
ステップ4:安静・ストレス軽減
できるだけ静かな環境を保ち、犬をゆっくり休ませてあげてください。激しい運動は控え、穏やかに過ごせる空間を作りましょう。
やってはいけないこと(両面提示)
ケアを急ぐあまり、かえって状態を悪化させてしまうことがあります。次の点には注意してください。
- 下痢止めを自己判断で飲ませない:人間用の薬は犬には使えません。市販の犬用整腸剤でも、成分や用量を誤ると逆効果になることがあります。
- 無理に食べさせない:「栄養をとらせなければ」と焦って食事を与え続けると、消化器官が休まりません。
- 下痢を「ただの老化」と決めつけない:数日続く下痢は、何らかの病気のサインである可能性があります。早期発見が治療の選択肢を広げます。
迷ったときは、動物病院に電話で相談するだけでも、安心感が違います。
老犬の下痢|すぐ病院に行くべき症状と様子見でいいケース

「今すぐ病院へ行くべきか、もう少し様子を見るべきか」——この判断に悩む飼い主さんはとても多いです。目安をまとめました。
すぐ受診すべき症状
以下のいずれかに当てはまる場合は、できるだけ早く動物病院を受診することをおすすめします。
- 便に血が混じっている(赤い血、または黒いタール状の便)
- 嘔吐を伴う下痢がある
- 元気がない・ぐったりしている
- 1日に5回以上の下痢、または水様便が続いている
- 24時間以上、水を飲もうとしない
- お腹が張っている、触ると痛がる
- 体温が高い(38.5℃以上)、または明らかに低い
特に大型犬は体が大きいぶん脱水の進行が早いため、「水様便 + 元気がない」という組み合わせは早急な対処が必要です。
様子見でいい症状の目安
以下の条件がそろっている場合は、1〜2日の自宅ケアで経過を見てもよい可能性があります。
- 軟便が1〜2回あったが、その後は落ち着いている
- 元気があり、水も飲んでいる
- 食欲はやや落ちているが、食べる気はある
- フードを変えた、おやつをあげすぎたなど心当たりがある
ただし、2日経っても改善しない場合は受診を検討してください。シニア犬の「様子見」は72時間以上続けないことをおすすめします。
大型犬シニアの下痢|ゴールデンレトリバー・ラブラドールは特に注意

大型犬を飼っている飼い主さんには、特に気をつけてほしいことがあります。
ゴールデンレトリバーの場合
ゴールデンレトリバーは消化器系のトラブルが比較的多い犬種のひとつです。腸リンパ腫の発症リスクが高いといわれており、慢性的な下痢が続く場合は早めの精密検査が重要です。
また、体が大きいため脱水が進んでも外からわかりにくいことがあります。首の後ろや耳の後ろの皮膚をつまんで素早く戻らない場合は、脱水のサインかもしれません。
ゴールデンは食に好奇心が旺盛な犬種でもあります。散歩中の拾い食いで感染性の下痢を起こすことがあるため、お散歩コースの管理にも気を配ってあげてください。
ラブラドールレトリバーの場合
ラブラドールは「とにかく食欲旺盛」な犬種として知られています。拾い食いや食べ過ぎによる下痢が多く、シニアになってからも同じ食欲を維持していることがあります。
老犬になってからの食べ過ぎや脂肪分の多い食事は、膵炎のリスクを高める可能性があります。「ラブラドールだから食欲があって安心」と思わずに、食事量と脂肪分を定期的に見直してあげてください。
大型犬に共通する注意点
大型犬は体重が重いぶん、薬の用量計算が小型犬と異なります。市販の犬用薬を使用する前に、必ず獣医師に確認することをおすすめします。
また、体が大きいぶん症状が外からわかりにくいこともあります。「いつもと違う」という飼い主さんの直感は大切にしてください。日々の記録をつけることで、微妙な変化に気づきやすくなります。
まとめ|老犬の下痢は「早めに気づいて、早めに動く」が大切
この記事のポイントをまとめます。
- 老犬の下痢の原因は、腸の老化・食事・ストレス・感染症・内臓疾患と多岐にわたります
- 便の色・形状・頻度・混入物を確認し、自宅でできるケアを試してみましょう
- 血便・嘔吐・元気消失・水様便が続く場合はすぐに動物病院を受診してください
- 大型犬は脱水が進みやすく症状が見えにくいため、日々の観察と記録が特に大切です
「年だから仕方ない」と諦めないでください。早く気づくほど、治療の選択肢が増えます。わが子のために、できることをひとつずつ確認していきましょう。
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