12歳を超えた愛犬が、最近フードに口をつけなくなってきた——そんな経験はありませんか?
「市販のドッグフードを変えてみたけれど、食いつきが悪い」「ハイシニア犬のフードを手作りしてみようかな」と考え始める飼い主さんは少なくありません。その思いは、愛犬を大切に思っているからこそです。
この記事では、ハイシニア犬のフードを手作りする際に知っておくべき6つの注意点と、栄養バランスの基本、おすすめ食材をわかりやすく解説します。大型犬ならではのポイントも含めてお伝えするので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ハイシニア犬に手作りフードが注目される「本当の理由」

ハイシニア期(おおよそ11歳以上)は、消化機能・腎臓・肝臓など全身の機能が徐々に衰えてくる時期です。
市販のドッグフードにも高品質なものが多く揃っていますが、「もっと消化に優しいものを与えたい」「食いつきをよくしたい」という思いから、手作りフードへの関心が高まっています。また、食事の準備が愛犬との大切なコミュニケーションの時間になっているという飼い主さんも多いです。
市販フードだけでは対応しにくいケースがある
市販のドッグフードは、一般的な栄養基準を満たしているものがほとんどです。ただし、愛犬一頭ひとりの体の状態・消化力・好みに完全に合わせることは難しい面もあります。
たとえば、腎臓に負担をかけたくないのでたんぱく質の量を少し調整したい、という場合には、手作りフードが柔軟に対応できる可能性があります。また、体重が落ちてきた子には食材の組み合わせで少しカロリーを増やすという調整もしやすくなります。
ただし、栄養管理は繊細なテーマです。自己判断で極端に変えるのではなく、獣医師のアドバイスをもとに進めることが大切です。
食欲が落ちてきた時、香りが食いつきを変えることも
加熱した鶏肉や魚の香りは、食欲が落ちたハイシニア犬の食いつきを改善するケースがあります。
市販のドライフードは香りが飛んでいることが多く、嗅覚が衰えたハイシニア犬には刺激が少なく感じられることも。手作りごはんを温かいうちに与えると、香りが立って食欲を刺激しやすくなります。多くの飼い主さんが「ドライフードをお湯でふやかすだけで食いつきが変わった」という経験をされています。
ただし、食欲不振が数日以上続く場合は消化器系や全身の病気が隠れていることも。シニア犬がご飯食べない7つの原因と今日から使える食欲回復ケアで詳しく原因を確認しながら、気になる場合は早めに獣医師へ相談してください。
「すべてを手作りに切り替える」のは慎重に
手作りフードのみに完全に切り替えることは、栄養バランスが崩れるリスクがあります。
市販フードには、総合栄養食の基準を満たすためにビタミン・ミネラルがバランスよく配合されています。手作りだけに切り替えると、カルシウム・亜鉛・ビタミンDなどが不足するケースが出てきます。
手作りを取り入れるなら、まずは市販フードの「トッピング」として少量から始めてみるのがおすすめです。食いつきの変化や便の状態を観察しながら、少しずつ量を調整していきましょう。次の章では、具体的にどんな食材が使えるのかを見ていきます。
ハイシニア犬の手作りフードに使える食材と避けるべき食材

手作りフードを始めるにあたって、まず「何を使っていいか・いけないか」を把握することが大切です。食材選びを間違えると、逆に健康を害する可能性があります。
消化に優しいたんぱく質源を選ぶ
ハイシニア犬には、消化吸収しやすい良質なたんぱく質が欠かせません。筋肉量を維持するためにも、たんぱく質は必要な栄養素です。ただし、腎機能が低下している犬にとって過剰摂取は腎臓に負担をかける可能性があります。
おすすめの食材:鶏のささみ(茹でて細かく裂く)、タラ・ヒラメなどの白身魚(塩なし)、豆腐(消化に優しく植物性たんぱく質として◎)、卵(茹でて刻む)
調理のポイントは「ゆでる」「蒸す」こと。油で炒めると脂質が増えて消化に負担がかかるので、なるべくシンプルな調理法を選んでください。骨が含まれる魚は必ず丁寧に取り除き、犬が食べやすい大きさにほぐして与えます。
腎臓病がある場合の手作りフードについては、老犬の腎臓病に手作りフードは有効?食材の選び方と5つの注意点も合わせて確認してみてください。
消化に優しい炭水化物で腸を整える
ハイシニア犬は消化機能が低下しているため、胃腸に優しい炭水化物を選ぶことが大切です。
おすすめ食材:かぼちゃ(消化よく食物繊維豊富)、さつまいも(ビタミン豊富で甘みがあり食べやすい)、白米(やわらかく炊く)、塩なしうどん(やわらかく茹でる)
一度に多く与えると消化に負担がかかります。1日2〜3回に分けて少量ずつ与えることで、胃腸への負担を分散できます。
食物繊維が豊富な食材は便の状態を整える効果も期待できますが、量が多すぎると下痢になることも。最初は少量から試し、便の状態を2〜3日観察しながら進めてください。
絶対に与えてはいけない食材
手作りフードで最も注意が必要なのが、犬に害を与える食材です。ハイシニア犬は体の解毒機能が低下しているため、少量でも影響が出やすくなっています。
絶対にNG:玉ねぎ・長ねぎ・ニラ(溶血性貧血の原因)、ぶどう・レーズン(腎不全のリスク)、チョコレート(テオブロミン中毒)、キシリトール含有食品(低血糖・肝不全)、アボカド(消化器障害)、マカデミアナッツ(神経症状・嘔吐)、生肉・生魚(細菌・寄生虫のリスク)
「たまになら大丈夫」という考えは避け、安全な食材だけを使うようにしてください。食材は必ず加熱してから与えることが基本です。調味料(塩・醤油・みそ)も腎臓と心臓に負担をかけるため絶対に使わないようにしましょう。
手作りフードを始める前に確認しておきたい3つのこと

手作りフードは「自然だから安心」ではなく、「愛犬の体に合っているか」が最も重要です。
血液検査で現在の体の状態を把握する
手作りフードを始める前に、血液検査で腎機能・肝機能・血中ミネラルの値などを確認しておくことをおすすめします。
腎機能が低下している場合は、たんぱく質の量を抑える必要があります。肝機能が弱っている場合は、脂質の多い食材を避けたほうがよいこともあります。現状を知らずに手作りを始めると、逆効果になるケースがあります。
血液検査の結果を持って「手作りフードを取り入れたい」と獣医師に伝えると、その子の体に合った食材の選び方や量について具体的なアドバイスをもらいやすくなります。ハイシニア犬は半年に1回の定期健診が目安ですが、食事内容を変える前のタイミングに合わせて受けてみるのもよいでしょう。
薬を服用中の場合は食材の影響を確認する
心臓病・関節炎・甲状腺疾患などで薬を服用しているハイシニア犬は、食材が薬の効果に影響する可能性があります。
血液をサラサラにする薬を服用中の場合、ビタミンKを多く含むほうれん草・ブロッコリー・ケールなどは薬の効き目に影響する可能性があります。
与えたい食材のリストを担当獣医師に見せ、問題がないか確認してから始めるのが安心です。「食事内容を変えたい」という相談は、かかりつけ医であれば快く応じてくれるはずです。
こんな症状が出たら早めに受診する
手作りフードを取り入れた後、以下のような症状が見られたら早めに受診することをおすすめします。
受診の目安:下痢や軟便が2日以上続く、嘔吐が1日に複数回ある、食欲がさらに落ちた、元気がなくぐったりしている、体が震えている、歩き方がふらふらしている
「食材を変えただけだから様子見でいいだろう」と思いがちですが、ハイシニア期は体調変化が速く進行することも。早期発見が回復のカギになりますので、迷ったら受診を選んでください。
大型犬・犬種別|ハイシニア期の手作りフードで気をつけたいポイント

大型犬はそもそもの体の大きさが違うため、食材の量・栄養バランスの管理も小型犬とは異なります。犬種ごとの特性を知っておくことが、手作りフード成功の鍵になります。
ゴールデンレトリバーの場合
ゴールデンレトリバーのハイシニア期に多いのが、関節炎と体重管理の問題です。体が大きい分、関節への負担も大きくなります。
関節を意識するなら、サーモン・イワシなどの青魚に含まれるオメガ3脂肪酸を取り入れてみてください。炎症を和らげる働きが期待されています。週に2〜3回、茹でたサーモンをトッピングするだけでも手軽に始められます。
手作りでカロリーが過剰になると体重増加につながり、関節をさらに痛めるリスクが高まります。食材の量は体重の1.5〜2%を1日分の目安にしつつ、体重を週1回計って調整していきましょう。
ゴールデンレトリバーのシニア期の健康サインについては、ゴールデンレトリバーのシニア期に注意すべき7つのサインと健康管理法も参考にしてみてください。
ラブラドールの場合
ラブラドールは食欲が非常に旺盛な犬種として知られています。ハイシニア期になっても「もっと食べたい」という素振りを見せることが多く、手作りごはんを見せると大量に要求してくることも。
ラブラドールは肥満になりやすい犬種です。手作りフードは見た目の量が多く感じられることがあり、ついつい多めに与えてしまいがちです。
1回あたりの食事量を事前に計量してから与える習慣をつけましょう。「目分量」は与えすぎにつながりやすいので、キッチンスケールで計ることをおすすめします。体重変化は週に1回記録しておくと、量の調整がしやすくなります。
ハスキー・北方系大型犬の場合
シベリアンハスキーなどの北方原産犬は独特の代謝の仕組みを持ち、一般的な犬とは体の特性が異なることがあります。
もともと少量でも効率よくエネルギーを使える体質のため、手作りフードで脂質を多く与えすぎると体重が急増する可能性があります。
また、ハスキーは食物アレルギーを持つ子が一定数います。初めて使う食材は少量から試して、かゆみ・下痢・嘔吐などのアレルギー反応が出ないか確認しながら進めてください。皮膚の赤みや耳の炎症もアレルギーのサインのひとつです。体重と皮膚の状態を週単位でチェックしながら、食事内容を少しずつ調整していきましょう。
まとめ
- ハイシニア犬の手作りフードは、消化に優しい食材選びと量の管理が基本
- 鶏ささみ・白身魚・かぼちゃなどが安心食材。NG食材は微量でも危険なものがある
- 始める前に血液検査と獣医師への相談を。完全手作りへの移行は慎重に
愛犬がハイシニア期を迎えると、毎日の食事が特別なケアの時間になっていきます。手作りフードは「愛情のこもった一皿」として取り入れることから始め、少しずつ愛犬の様子を見ながら調整してみてください。
わが子のために、できることをひとつずつ。小さな積み重ねが、大切な毎日を支えてくれます。
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