「うちの子、最近目やにが多くなったかも…」
12歳のゴールデンレトリバーを飼っている方から、そんな相談をよく聞きます。「年のせいかな」と思いながらも、心のどこかで「もしかして病気では」という不安がよぎるものです。
その感覚は、大切なわが子を思う飼い主さんの直感かもしれません。実は、目やにの急増は加齢による自然な変化のこともあります。ドライアイや結膜炎、緑内障など早期対応が必要な病気のサインである場合も少なくありません。
この記事では、シニア犬の目やにが急に増える5つの原因と自宅ケアの方法をお伝えします。受診すべき症状の判断基準もわかりやすく解説します。目やにの色や状態の見方も解説しますので、愛犬の目の変化に気づいたとき、慌てずに対応できるようになります。
わが子の変化を早く知ることが、一番の予防策です。一緒に確認していきましょう。
シニア犬の目やにが急に増える「本当の理由」

目やには犬の体にとって、ゴミや細菌から目を守るための自然な分泌物です。でも、急に量が増えたり、色が変わったりしたときは、何らかのサインである可能性があります。
シニア犬の目やにが増える原因は、大きく分けて5つあります。順に見ていきましょう。
原因① 加齢による涙の変化
犬は年齢を重ねると、体全体の代謝が落ちてきます。涙の分泌量やバランスも少しずつ変化し、目の表面に老廃物がたまりやすくなることがあります。
朝起きたときに少し目やにがついている程度であれば、加齢による自然な変化の可能性があります。ただし、「昨日より明らかに量が多い」「べったりと固まっている」と感じる場合は、注意して経過を見ましょう。加齢の変化は緩やかに進むものです。急激な増加を「年のせい」と片づけてしまうのは、少しもったいないかもしれません。
原因② ドライアイ(乾性角結膜炎)
シニア犬に特に多いのが、ドライアイです。正式には「乾性角結膜炎」といいます。涙の分泌量が慢性的に低下することで、目の表面が乾燥し、粘り気のある目やにが大量に出るようになります。
一見すると「目やにが増えた」と感じるだけですが、実は涙が足りない状態で目が乾燥しているサインです。放置すると角膜に傷がつき、最悪の場合は視力低下や失明につながる可能性もあります。「ネバネバした目やにが増えた」と気づいたときは、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
原因③ 結膜炎・角膜炎
目の白い部分(結膜)や角膜に炎症が起きると、目やにが急に増えることがあります。原因としては、花粉やほこりなどのアレルギー、細菌やウイルスの感染、目への異物混入、外傷などが考えられます。
シニア犬は免疫力が低下しているため、若い頃より感染症にかかりやすくなっています。「目が充血している」「目をしきりにこすっている」という仕草と目やにの増加が重なる場合は、早めに診察を受けるとよいでしょう。結膜炎は適切な治療で回復することが多い病気です。
原因④ 白内障・緑内障などの眼科疾患
白内障や緑内障も、目やにの増加につながることがあります。特に緑内障は眼圧が急激に上がる場合があり、発症から48時間以内に治療が必要とされることもある緊急性の高い病気です。
「目が白くなってきた」「目が大きく見える」「光をまぶしそうにしている」などの変化と目やにの増加が重なる場合は、要注意です。その日のうちに動物病院に連れて行くとよいでしょう。早期対応で視力を守れる可能性が高まります。
原因⑤ 全身の体調変化やホルモンバランスの乱れ
目は全身の状態を映す鏡ともいわれます。糖尿病や甲状腺機能の低下、ホルモンバランスの乱れなど、体の内側の変化が目やにとして現れることがあります。
「目やにが増えた以外は元気そう」に見えても、実は別のところに原因がある場合もあります。シニア期の犬には定期的な健康診断が大切です。血液検査を含む全身チェックで、目以外の病気の早期発見にもつながります。
シニア犬の健康管理や病気のサインについては、健康・医療カテゴリで詳しく解説しています。
次の章では、目やにの色や状態で危険度を判断する方法をお伝えします。
目やにの「色と状態」で危険度を見分ける方法

目やにをよく観察することで、緊急性の高さが見えてきます。色と状態を確認する習慣をつけると、動物病院への受診タイミングの判断がしやすくなります。
毎朝のグリーティングや抱っこのタイミングで、目の状態を意識して確認してみてください。変化に気づくことが、早期発見の第一歩です。
透明〜白っぽい目やには様子見でOKの場合も
透明や薄い白色の目やにで量も少なければ、加齢による自然な変化の可能性があります。朝起きたときだけ少しついている程度であれば、まず数日間経過を観察しましょう。
ただし、粘り気がある・量が日に日に増えているという場合は、ドライアイのサインかもしれません。状態の変化を毎日確認することが大切です。
黄色・緑色の目やには感染症の可能性あり
黄色から緑色の目やには、細菌感染が関わっている可能性があります。結膜炎や角膜炎、上気道感染症(いわゆる犬のかぜ)が原因のこともあります。
量が多い・目が開けにくそう・目が充血しているなどの症状が見られたら、その日のうちに受診しましょう。感染症は適切な治療で改善することが多い病気です。早めの対処が回復を早めることにつながります。
赤黒い・茶色い目やには出血のサイン
目やにに血液が混じると、赤黒い色になります。これは目の出血の可能性を示すサインです。深刻な眼科疾患や外傷が原因であることもあります。
この色の目やにが見られた場合は、できるだけ早く動物病院を受診することをおすすめします。自己判断での様子見は避けましょう。色が鮮やかな赤であれば、より緊急性が高い状態の可能性があります。
自宅でできるケアと「絶対にやってはいけないこと」

目やには正しい方法で取り除くことが大切です。間違ったケアは逆効果になることもあります。正しい手順を知っておくだけで、愛犬への負担がずっと少なくなります。
目やにの正しい取り方
用意するもの:
– コットンまたはガーゼ(清潔なもの)
– ぬるま湯(38度前後)
手順:
- コットンをぬるま湯でしっかり湿らせる
- 目頭から目尻の方向に向かって、やさしく拭き取る
- 一度使ったコットンは使い回さない
- 両目がある場合は、必ず別のコットンを使う
ポイントは「こすらない・引っ張らない」こと。目の周りの皮膚はとてもデリケートです。コットンを軽く押し当てて、目やにをふやかしてから、すっとなでるように取り除きましょう。乾いて固まっている場合は、少し時間をかけてやわらかくしてから取ると、皮膚を傷つけにくくなります。
ケアの後は、目の状態(充血・腫れ・透明度)も一緒に確認する習慣をつけるとよいでしょう。記録しておくと、動物病院での説明にも役立ちます。
やってはいけないNG行為
① 人間用ティッシュやタオルで拭く
人間用のティッシュには蛍光剤や添加物が含まれているものがあります。犬の目の周りに使うと刺激になる可能性があります。できればペット用のウェットシートかコットンを使いましょう。
② 乾いた目やにを力任せに取る
乾いて固まった目やにを無理に取ろうとすると、皮膚や目の周りを傷つける可能性があります。コットンを濡らして、やわらかくしてから取り除くのが基本です。
③ 市販の人間用目薬を使う
「目が乾いているなら目薬を」と考える飼い主さんもいます。ただし人間用の目薬には、犬に使えない成分が含まれていることがあります。目薬を使いたい場合は、獣医師に相談するか、ペット専用のものを選びましょう。
④ 症状が続いているのに様子見を続ける
自宅ケアはあくまでも補助的なものです。目やにが1週間以上続く・量が増えている・色が変わったなどの変化があるときは、早めに獣医師に診てもらうとよいでしょう。
日々のケア方法についてさらに詳しくは、介護・ケアカテゴリもご覧ください。
こんな症状は今すぐ動物病院へ

「様子を見ていいのか、今すぐ行くべきか」。その判断は難しいですよね。でも、判断を先送りにすることで、対処できる病気を見逃してしまうこともあります。次のような症状が見られたときは、早めに受診しましょう。
すぐに受診すべきサイン
以下のいずれかが当てはまる場合は、その日のうちに動物病院に連れて行きましょう。
- 目が開けられないほど大量の目やにがついている
- 目やにの色が黄色・緑色・赤黒い
- 目が充血している、白目が赤くなっている
- 目が大きく腫れている、または突出して見える
- 目をしきりに前足でこする
- 1日ごとに目やにの量が増えている
- 光をまぶしそうにしている
特に緑内障は、眼圧の急上昇による激しい痛みを伴う場合があります。「目を強くつぶる」「頭を下げたままにしている」「食欲がなくなった」などの変化とともに目やにが増えた場合は、注意が必要です。緊急性が高い状態の可能性があります。早期の受診で視力を守れる可能性が高まります。
様子を見てもよい状態
一方で、以下の状態であれば、まず数日間の観察から始めてもよいでしょう。
- 朝起きたときだけ少し目やにがついている
- 色は透明〜薄い白色
- 目に充血や腫れはなし
- 目をこする仕草もなし
- 食欲・元気も変わらない
それでも「いつもと何かが違う」と感じたときは、愛犬を一番よくわかっている飼い主さんの直感を大切にしてください。「たぶん大丈夫」と思っていても、気になるなら電話で動物病院に相談してみることをおすすめします。
大型犬シニアに多い「目やに」のトラブルと注意点
大型犬はシニアになると、中小型犬とは少し異なる目のトラブルが起きやすくなります。普段から目の状態を観察しておくことが大切です。
ゴールデンレトリバーはドライアイに要注意
ゴールデンレトリバーは、もともとドライアイ(乾性角結膜炎)になりやすい犬種のひとつといわれています。特に10歳を超えると涙の分泌量が落ちやすくなります。「粘り気のある目やにが毎日たくさん出る」という状態になることがあります。
目の表面が乾燥した状態が続くと、角膜に傷がつきやすくなります。悪化すると痛みを伴うこともあり、早めの対処が大切です。適切な点眼治療で症状を管理できることが多いので、「最近目やにが多い気がする」と感じたら、早めに診察を受けましょう。長期間の放置は角膜へのダメージにつながる可能性があります。
ラブラドール・レトリバーは白内障との関連に注意
ラブラドール・レトリバーは加齢とともに白内障が進みやすく、白内障に伴う炎症で目やにが増えることがあります。「目が少し白くなってきた+目やにが増えた」という変化は、要チェックのサインです。
白内障は完全に防ぐことは難しいですが、進行を遅らせる点眼薬もあります。早期に発見して適切なケアをすることで、愛犬のQOL(生活の質)を保ちやすくなります。気になる変化があれば、早めに眼科的な検査を受けてみてください。
シベリアン・ハスキーは緑内障素因に注意
シベリアン・ハスキーは遺伝的に緑内障の素因を持つ個体がいることが知られています。シニア期に入ったら、年に一度は眼圧チェックも含めた眼科検査をしておくと安心です。
「目が大きく見える」「光を避けるようになった」「頭をよく下げている」などの変化と目やにの増加が重なる場合は、要注意です。早めに受診することを検討してください。緑内障は進行すると視力を失う可能性がある病気ですが、早期発見で治療の選択肢が広がります。
どの犬種も共通して言えることがあります。シニア期の目やにを「年のせい」と決めつけず、変化の経過を記録しておきましょう。いつ・どんな状態の目やにが出たかを記録しておくと、動物病院での診察にも役立ちます。
まとめ
- シニア犬の目やにが急に増えた原因は、加齢・ドライアイ・結膜炎・眼科疾患・全身の体調変化など様々です
- 目やにの色(黄色・緑色・赤黒い)や量の急増は、早めに動物病院を受診するサインです
- 自宅ケアは「ぬるま湯で湿らせたコットンでやさしく」が基本。人間用ティッシュや目薬は使わないようにしましょう
愛犬の目の変化を見逃さないために、毎日のケアの中で目の状態を確認する習慣をつけてあげてください。何か気になることがあれば、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
わが子のために、できることをひとつずつ積み重ねていきましょう。
▶ 「アデルとカイリの愛犬ライフ」でも、シニア犬との暮らしを発信しています。
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