深夜に愛犬がウロウロと歩き回っている——。
「また始まった」と思いながらも、心のどこかで「これって病気なのかな」と不安がよぎる。
そんな夜が続いていませんか?
老犬の深夜徘徊は、多くの飼い主さんが直面するお悩みのひとつです。
眠れない飼い主さんの疲労はもちろんですが、徘徊している愛犬自身も、何かに追われるような不安を感じている場合があります。
この記事では、老犬が深夜に歩き回る5つの原因と、今夜から試せる具体的な対策をお伝えします。
大型犬(ゴールデンレトリバー・ラブラドールなど)の飼い主さんに特に知っておいてほしい注意点も解説します。
まずは「なぜ歩き回るのか」を理解することが、解決への大切な一歩です。
老犬が深夜に徘徊する「本当の理由」とは

愛犬が深夜に目的もなく歩き回る姿は、見ているだけで胸が痛くなりますよね。
でも、その行動には必ず何らかの理由があります。
認知症(認知機能不全症候群)がもっとも多い原因
老犬の深夜徘徊でもっとも多い原因が、犬の認知症(認知機能不全症候群、CDS)です。
脳の老化によって、記憶・学習・認識の能力が低下していく病気です。
認知症の犬は、昼間はぐっすり眠り、夜になると目が覚めて落ち着きなく動き回る「昼夜逆転」を起こしやすくなります。
壁際をぐるぐる歩く、同じルートを何度も往復するといった行動が典型的なサインです。
11歳を超えた犬の約50%に認知機能の低下が見られると報告されています。
「ただの老化」で片づけたくなりますが、早めに気づくことで、進行を穏やかにする選択肢が増えます。
認知症が疑われる場合は、獣医師に相談することをおすすめします。
前庭疾患・脳疾患のサインである可能性
深夜徘徊の中には、緊急性の高いケースも含まれます。
前庭疾患は、バランスを司る内耳や脳幹の障害によって引き起こされます。
まっすぐ歩けず円を描くように旋回する、眼球が左右に揺れる(眼振)といった症状が現れます。
突然発症することが多く、最初は「変な動きで歩き回っている」と気づく飼い主さんも多いです。
脳腫瘍やてんかんが原因で夜間に異常行動が現れるケースも報告されています。
直線的に歩けない、首が常に傾いている(斜頸)などの症状が伴う場合は、すぐに受診してください。
昼夜逆転と体内時計の乱れ
老犬は視力・聴力が低下するとともに、体内時計を調整するメラトニンの分泌も減少します。
その結果、「昼間に眠り、夜に活発になる」昼夜逆転が起きやすくなります。
日中に運動せず家の中でずっと寝ていると、余ったエネルギーが夜の徘徊として現れます。
「昼間に寝かせすぎない」という意識が、夜間の徘徊を防ぐ重要なポイントです。
加齢によって睡眠の質が低下し、浅い眠りが続くようになることも影響しています。
「眠れているようで眠れていない」状態が、夜の不安定な行動につながることがあります。
痛みや不快感からくる夜間の訴え
関節炎・椎間板ヘルニア・消化器の不快感など、体の痛みや不快感が徘徊の原因になることもあります。
横になると関節が痛い、ある姿勢が苦しい——そんな不快感から、落ち着けずに動き回るのです。
トイレに行きたいのにうまく動けず、飼い主さんを探してウロウロすることもあります。
「鳴きながら歩き回る」「お腹を触ると嫌がる」などのサインがある場合は、痛みや内臓の問題も疑いましょう。
次の章では、これらの原因に対応するための具体的な対策を5つお伝えします。
今夜から試せる深夜徘徊の対策5選


対策①:昼間の運動量を少し増やす
夜間の徘徊を減らすためにもっとも効果的な方法のひとつが、昼間の適度な運動です。
体力が落ちたシニア犬でも、無理のない範囲での散歩や室内での軽い遊びで、適度な疲労感を与えられます。
足腰が弱った犬でも、歩行補助ハーネスを使いながら少しずつ動かすことが助けになります。
昼間の活動量が増えると、夜に自然と眠りやすくなります。「昼に動かし、夜は休ませる」リズムを意識してみましょう。
ただし、過度な運動は関節への負担になります。
翌朝の様子(足をひきずっていないか、元気があるか)を確認しながら運動量を調整してください。
対策②:朝の日光浴で体内時計をリセット
毎朝10〜15分、愛犬を日の当たる場所に連れていきましょう。
太陽光には体内時計をリセットする働きがあり、夜のメラトニン分泌を自然に促します。
天気が悪い日でも、窓際に座らせるだけで一定の効果があります。
「朝に光を浴び、夜は暗くする」リズムの積み重ねが、数週間後の変化につながります。
焦らず、毎日続けることを優先してください。
対策③:安全な「夜の寝床」スペースを確保する
徘徊する犬が家具や壁にぶつかってケガをしないよう、夜間の環境を安全に整えましょう。
- 家具の角にクッション材・コーナーガードをつける
- 段差をなくすか、スロープを設置する
- 転倒しやすいフローリングにはノンスリップマットを敷く
- コードや小物など、踏んで危険なものを片付ける
特に深夜は飼い主さんが眠っているため、気づかないうちにケガをしていることがあります。
安全な環境づくりは、老犬介護の基本中の基本です。
対策④:広めのサークルで行動範囲を整える
認知症が進んでいる場合、広い部屋での徘徊はかえって不安を強めることがあります。
広めのドッグサークルで行動範囲を適度に制限することで、愛犬が「自分の縄張り」として落ち着ける空間を作れる場合があります。
囲われた空間が安心感につながり、徘徊の頻度が下がるケースも報告されています。
ただし、閉じ込めるような使い方は逆効果です。
サークル内には清潔なトイレ・水・快適な寝床を必ず用意し、十分なスペースを確保してください。
対策⑤:夜間の音・光・温度を整える
深夜の完全な静寂が、視覚・聴覚の衰えた老犬を不安にさせることがあります。
小さな常夜灯(ナイトライト)をつけることで、視力が低下した犬でも周囲を認識しやすくなります。
ラジオやホワイトノイズを小音量で流すことが、不安を和らげる場合もあります。
また、シニア犬は体温調節が苦手になるため、夜間の冷えにも注意が必要です。
室温は22〜26℃を目安に保ち、犬用毛布や低温のヒーターを活用しましょう。
これらの対策を試しても改善しない場合は、獣医師に相談することをおすすめします。
行動を安定させる薬やサプリメントが、症状を穏やかにしてくれるケースもあります。
すぐに病院へ行くべき、見逃せないサイン


以下のサインが見られる場合は、「様子見」をやめて、すぐにかかりつけ医に連絡してください。
・まっすぐ歩けず、円を描くようにぐるぐる旋回している
・眼球が左右または上下に揺れている(眼振)
・首が傾いたまま元に戻らない(斜頸)
・突然始まった激しい徘徊・方向感覚の完全な喪失
・けいれんを伴う動き・意識がないように見える
これらは前庭疾患・脳腫瘍・てんかんなど、緊急性の高い疾患のサインの可能性があります。
早期発見・早期治療が、後遺症のリスクを下げます。
翌日の診察で間に合うケース
一方で、以下のような状況であれば、翌朝の診察でも多くの場合は問題ありません。
・以前から継続している夜間の落ち着きのなさ(急な変化ではない)
・昼間は普通に過ごせている
・食欲・水分摂取に大きな変化がない
・歩行自体は安定している
ただし「いつもと何か違う」と感じたら、その直感を大切にしてください。毎日愛犬を見ている飼い主さんの気づきは、どんな検査よりも正確なことがあります。
迷ったときは、まず電話でかかりつけ医に相談してみましょう。
大型犬の深夜徘徊|ゴールデンレトリバー・ラブラドール飼い主さんへ


大型犬(体重25kg以上)は、小型犬より早く老化が進みます。
ゴールデンレトリバーやラブラドール・レトリバーは7〜8歳からシニア期とされています。
小型犬も「7歳からシニア」とされますが、体の老化スピードは大型犬のほうが速いとされています。
「まだ元気だから大丈夫」と思っていたら、10歳を超えて急に認知症が進んでいた——というケースは珍しくありません。
7〜8歳から「深夜に落ち着きがない」「夜中に起きていることが増えた」といったサインを意識することが大切です。
老犬介護のサインについては、介護・ケアカテゴリの記事もあわせてご覧ください。
体が大きい分、介護の負担も増える
深夜に大型犬が家中を歩き回ると、物が倒れる・飼い主さんにぶつかるといった危険が生じます。
また、大型犬は転倒した際に自力で起き上がれなくなることもあります。
徘徊中の転落・家具への衝突によるケガには、特に注意が必要です。
サークルや仕切りを使う際も、大型犬の体格に合ったサイズを選んでください。
小型犬用のサークルに無理やり入れると、かえってストレスやケガの原因になります。
大型犬の深夜徘徊ケアに役立つグッズ
大型犬のシニア介護に役立つグッズを紹介します。
- 歩行補助ハーネス:後肢が弱った大型犬の室内移動・散歩をサポート
- 整形外科用マットレス(低反発):関節への負担を減らし、横になった時の痛みを軽減
- 大型犬用ノンスリップマット:フローリングでの転倒を防ぐ
- 大型サークル:十分なスペースを確保しながら行動範囲を整える
大型犬の介護は、飼い主さん自身の体への負担も大きくなります。腰や膝を守るためにも、介護グッズを積極的に取り入れてください。
愛犬の夜間の変化に早く気づくためにも、日々の様子を記録しておくことが大切です。体調の変化・徘徊の頻度・睡眠の様子を蓄積することで、獣医師への相談がよりスムーズになります。
まとめ
- 老犬の深夜徘徊の原因は、認知症・前庭疾患・昼夜逆転・痛みなど複数あります
- 今夜から試せる対策は、昼間の運動・朝の日光浴・安全な環境整備・サークル活用・夜間環境の調整の5つです
- 大型犬は老化が早いため、7〜8歳から夜間の行動に意識を向けることが早期対応のカギになります
愛犬が夜中に歩き回る姿を見るのは、飼い主さんにとっても心が痛いことです。
でも、その行動には必ず「理由」があり、できることも必ずあります。
一つひとつ確認しながら、わが子のために、できることをはじめていきましょう。
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